浜田省吾ヒストリー⑤ アルバム「君が人生の時」
浜田省吾さんの歴史を振り返るコーナー、5回目は
アルバム「君が人生の時」
このアルバムは、私も大好きなアルバムです。
前作までのアルバムと違って、活き活きとした省吾さんを感じられるようでね!
前作の「MIND SCREEN」で、それまでのモヤモヤしてた気持ちが吹っ切れたことや
歌詞は自分で書かなきゃダメだということを痛感したことで
このアルバムは、視野が開けたことが伺えるようなアルバムになっています。
アルバム全体を通して、ストーリーになっているように感じられるんですよね。
それは、おそらくアルバム自体のテーマがハッキリしていたからなんじゃないかなぁ?っと思います。
1曲1曲、自分のやりたい曲作りが出来ていて
そこに描かれている歌詞の世界は、省吾さんの体験したきたことを元に描かれていて
真実味も感じられるんです。
それが色濃く出ているのが「さよならにくちづけ」や「ミスロンリーハート」「青春のヴィジョン」で
省吾さんは、大学に通っている意味がわからなくなり、途中でドロップアウトするんですけれど
その時の気持ちを「さよならにくちづけ」で綴っていて
どこかの学園祭のステージを終えた後に
ふいに出くわした女性に淡い恋心を抱く想いが「ミス・ロンリーハート」に綴られていて
コンサートが終わった後、1人でホテルに居た時に感じた気持ちを「青春のヴィジョン」で綴っていてね。
自分の歌いたいことを歌にされていました。
それぞれについて、省吾さんはこんな風に語っています。
「さよならにくちづけ」
これも歌詞の通り、自分が大学をやめる時に「あぁ、もう二度と学生生活に戻らずに、ツアーに出ちゃうんだなぁ」って思った、そのキャンパスの雰囲気を綴ったスナップショット。
アルバム「ILLUMINATION」「MIND SCREEN」って詞が書けなくて凄い苦労して、ようやくそこから抜けて、自分の人生の一瞬一瞬のスナップショットを歌にしようと思ったんです。
(著書「浜田省吾事典」より)
「ミス・ロンリーハート」
雑誌などで「このアルバムの中で一番好きな曲」と言っていますが、この曲の歌詞になっているシーンは、どこかの学園祭で本当にあった話なんです。
コンサートが終わってステージを降りて楽屋に帰ってきたら、女の子がビールを渡してくれたんですよ。
それで一目惚れの片想いをして、その時の情景をパシャッとスナップ写真で撮ったそのままが歌になっているんです。
その頃のバンドの雰囲気ーーー無名だったけど楽しかった。
いつも喧嘩してたけど楽しくて、自由でーーー。
そういうものを、スナップ写真で撮った感じ。
(著書「浜田省吾事典」より)
「青春のヴィジョン」
これは福岡の博多で作った曲。
バンドのメンバーのみんなはコンサートが終わったら、食事に行ったり飲みに行ったりしてるんだけど、自分はホテルに戻って詞を書かなきゃいけない。
その頃は締切があったから(笑)
そういう厳しさが歌に出てますね(笑)
ツアーの日々の1ページ。
(著書「浜田省吾事典」より)
それぞれの歌は歌詞を聞いていると、具体的なので聞いている側も
その状態を映画でも見ているかのように想像できる感じでした(*^^*)
他には、このアルバムには❝日清カップヌードルのCMソング❞に起用された
「風を感じて」という歌も収録されているんですけれど
CMソングとして起用されるまでに、色々と悔しい想いもされたりしてきたので
省吾さん的には、あまり良い想い出がなかったようで(;´∀`)
初のヒット曲でもありながら、ステージの上では歌いたがらず
ようやく、数年前くらいから歌ってくれるようになったんです。
この歌だけは、歌詞は作詞家の方に依頼されていましたけれど
でも、大半は手直ししちゃったようです(笑)
そうそう、この歌がヒットしたことで「夜のヒットスタジオ」にも出演されて
テレビで歌ったりもしてたんですよ(^-^)b
でも、テレビの収録時間の長さにウンザリしたようで(笑)
それ以来、テレビ嫌いになったようです(^○^)
メディアを通すと、真実も伝わらないと言っていたりもしました。
そして、このアルバムを総括したような歌が
アルバムタイトル名にもなっている歌で
私が大好きな歌でもある「君が人生の時」なんですが
この歌は胸に沁みてきます!!
そうなんだよな。自分の人生だもんね!自分の思うように生きなきゃ!
と思える歌なんです。
この歌についても、省吾さんはこう語っています。
アルバム「ILLUMINATION」「MIND SCREEN」で職業作家的な作り方を強く求められて、やってみた結果、自分で「それは出来ない」とわかった。
自分のことと、自分が感じることしか歌に出来ない。
だったら自分の言葉で自分のことを歌えばいい。
だから「君が人生の時」というタイトルになっているんです。
(著書「浜田省吾事典」より)
コメントからも、克服できた感が溢れていますよね。
そのためか?聞いている方も清々しいんです。
そんなエピソードを知らなかった時でも、そう感じられたので
それだけ、やはりこのアルバムって
省吾さんが自由に歌作りできたことが伺えるんですよね。
アルバム収録曲は
- 風を感じて(歌詞は三浦徳子・浜田省吾)
- ミス・ロンリー・ハート
- さよならにくちづけ
- 青春のヴィジョン
- とぎれた愛の物語
- 恋の西武新宿線
- 4年目の秋
- 今夜はごきげん
- いつかもうすぐ(曲はIAN TYSON)好きな曲だったようでカバーされました
- 君が人生の時
このアルバムの中で、私が好きな曲は
- 風を感じて
- ミス・ロンリー・ハート
- さよならにくちづけ
- 青春のヴィジョン
- とぎれた愛の物語
- 4年目の秋
- いつかもうすぐ
- 君が人生の時
そして、このアルバムについて省吾さんは、こんな風に語っています。
アルバム「MIND SCREEN」で自分の詞を書かなきゃいけないんだなぁっと思って、それで書けるのは自分のことなんだろうということがわかり、自分のことを丁寧に拾い上げたんですね。
この頃から自分の詞のスタイルが、少しずつ出来つつあったのかなと思います。
自分の中では、ポップなアルバムの集大成という感じです。
実際このアルバムは、ヒットシングル「風を感じて」のお陰で少し売れたんです。
10万枚くらいかな。
それまで1万枚くらいしか売れてなかったわけだから、画期的なことでしたよね。
イべンターがツアーをやろうかって言い始めて、この頃からコンサートツアーというのが始まるんです。
「風を感じて」は色んなエピソードがあるんですけれど、その頃はCMソングがヒット曲のきっかけだったという時代なんです。
僕が最初に受けた話は、いっぱいあった。
いっぱいデモテープを録ったんです。
松崎しげるさんで大ヒットした曲もありますよね。
「愛のメモリー」っていう曲。
あのCMも最初にやったのは僕で、ボツって彼のところにいってヒットした(笑)
次にコーセーのCMのデモテープでボツって、山本達彦くんの最初の大ヒットになるんです。
そういうことが5回くらい続いた。
その度にレコーディングは中断するは、ツアーは途中になるはで、コケて代わった曲が大ヒットする(笑)
もう頭にきて、バカヤロー、二度とCMなんてやらない。
最後のバカヤローの前にきた話がこれ。
イージーな食べ物だから、イージーっていう言葉はあったんだけど、注文はそれだけで。
でもCMソングは嫌だから、詞は誰か他の人にしてくれって。
最初は三浦さんの詞があったんだけど、ほとんど変えちゃって、流れたら結果的に、その頃の代表曲になってました。
ヒットしたっていっても15位くらいです。
でも、僕の曲の中では(「悲しみは雪のように」以前の)唯一のヒット・シングルですよね。
(著書「浜田省吾事典」より)
っと「風を感じて」に関しては、そういったエピソードがあったようです。
でも、CMソングで、他の歌手の方がヒットしてきたその裏側には
省吾さんの歌が何度もボツってきたという真相があったのだと思うと
自分のところに、仕事の話が回ってきたとしても、おちおち喜んでもいられず
ぬか喜びと落ち込みの連続なんだと感じられて
音楽の世界は険しく感じますね。
それでも、自分の音楽作りの基盤が出来上がってきたということもあり
大きく飛躍するターニングポイントになったアルバムだったような気がします。
そして、次のアルバムでは、省吾さんが本当にやりたかったことが出来るようになり
ロック魂が炸裂し始めるんですよ( *´艸`)
その快進撃のお話は、また次に続きます(*^_^*)